信田さよ子さん講演会「母と娘の関係を考える~自分の人生を生きるために~」

信田さよ子さん講演会「母と娘の関係を考える~自分の人生を生きるために~」

世田谷区のらぷらすフェスタでの信田さよ子さん講演会に行ってきました。
テーマは「母と娘の関係を考える~自分の人生を生きるために~」1時間みっちりの講演会でした。

原宿でカウンセラーとして現役で活動されつつ、家族間の問題などの第一人者である信田さん。
ご著書は何冊か読んだことがあったのですが、せっかくなら講演会に行ってみたいなと思って探したのがこちらです。
 

現場でたくさんの方にカウンセリングを行っていることや、春先にNHKで放映されていたドラマ『お母さん、娘をやめていいですか?』にもかかわっていたそうで、最近の事例なども絡めてお話しくださってとても分かりやすかったです。

お話しされている雰囲気から、お人柄も伝わってくるので講演会に行ってみてよかった。メモなどほとんどとっていなかったのでうろ覚えですが、記録として残しておきます。

◆母と娘の関係の時代的な流れ(初期の年代があいまいです)
第1期 1970年代?~ 反フロイト(フロイトは父と息子と母の関係で娘は不在ではないかというフェミニストたちからの問題提起)
第2期 1996年~ アダルトチルドレン
第3期 2008年 墓守娘(信田さんの著書・予想外の話題になる)
第4期 2012年 毒親

昔は女性誌(婦人公論などの例)嫁姑問題が取り上げられることが多かったが、現在は母と娘の毒親(信田さんはあまりこの表現は使わないそうです)問題が取り上げられる。なぜなら関心が高く、売れるから。いわゆる団塊世代の娘たち、つまりロスジェネ世代2008年くらいに30~40代のメディア関係などの知的職業の女性たちが関心を持って取り上げられるようになった。

1980年代ごろから「子供が生まれた時男と女どちらが嬉しいか?」というアンケートが、それまでの男(息子)から女(娘)のほうが上回るように。少子高齢化などの背景もある。

ここで面白かったのが、とにかく娘よりお母さんのほうが元気ということ。

駅で娘がエスカレーターに乗り、母が階段。というエピソードを話してくれたのですが、それほんとウチも。我が家の母は一人で山登りとか行っちゃう人だけど私はそんな体力ないです。

◆母と娘が恋人のような関係
二人で旅行に出かけたり、お母さんが娘の帰りを待って仕事のケアなどをするなど。新聞社で働く方の例で、必ず食事を作って、さらに新聞を読み込んでここがこうだったなどと言ってくるなど、ぞっとする例が出てきました。

あと、ある大学でアンケートをとったら自分の服を自分で選ばず母の買ってきたものを着ているという学生が7割もいたそうで、びっくり。

◆対策はとにかく、逃げる 
距離を置く、電話やメールはとらない、宅配は受け取らないなど、距離を置くことが大切なようです。

もし実家にいる場合は、挨拶をきちんとする、丁寧な言葉で話す、事前に許可をとらず自分で決めるなど線引きをしっかりすることで距離を置けるとか。

◆共依存とは
よく、それって共依存の関係だよねという話が出るが、共依存とは支配。ちょっとこの辺確かではないんですけど、あれこれケアすることによって弱者化し支配しているというようなお話があり、新しい発見でした。

例えば身の回りの世話をして、母がいないと何もできない、母が決めるのが当たりまえというのは娘を弱者化して支配している。

あるいはケアさせる支配。娘がいないとお母さんはやっていけないと直接言う場合もあればそうでない場合もあるがそういった支配。これはDVなどでもよく見られる関係。

◆母が許せない・・・に対する答えは?
よく母のことが許せないという話を聞くが、母はあなたに許されなくてもすでに許されている、だから許す必要はない。

母自身は自分のことを許している(というか、こどものためによいと思って思ってやっている)それに神に許されている。

この神に許されているというのはちょっとよくわからなかったのですが、たしかにそもそも良かれと思ってやっていることなので許すもなにも・・って感じですよね。

◆罪悪感は必要経費
いろんなことに対して最悪感を感じてしまうのは、もう仕方ないそれは必要経費とおっしゃっていました。この辺「おお!」と思った割にはよく覚えてないのですが、言葉としてメモしておきます。

母性愛だったか忘れてしまったけど、子供が成長するにあたって特定の関係がしっかりあれば大丈夫。不安定な母とずっといるより、保育園や幼稚園で同じ保育士さんに愛を注いでもらったり、おじいちゃんやおばあちゃんなどにケアしてもらうなり「特定の」「安定した」関係性があれば大丈夫。というようなお話があった。

 
  
 
【 講演会の感想 】
もともと信田さんはアルコール依存症にかかわってこられており、
クライアントの話を聞いていると、実際に問題を起こしている父よりも
母に対しても娘の不満が多かったことから、母と娘の関係に着目された
とのお話が冒頭にありました。

我が家は父も母もそれぞれ家系のクセがあり、それによって私も悩み、家族間のことを意識しているのですが自分としては父に対してはあきらめ、
母に対しての恨みのほうが強く出ている感じです。(普段は普通なんだけど、たまに母に対して異様に怒りがわいたりする。)

現在は物理的に距離があるので、あまり表面化しないけど母と娘の関係は根深いなあと感じています。

信田さんはキャリアもあり、実際に今も現場でクライアントさんを前にカウンセリングされているとのことで、時代による移り変わりや実体験の厚みを感じるお話ですごく面白かったです。

やっぱりナマでお話を伺えるのは本当にありがたいですね。
言葉だけでなくいろんなものが伝わってくるし・・・

しかし70歳を過ぎてるとは思えないほどパワフルです。

7月13日(木)朝日カルチャーセンターで開催の「世代間連鎖を考える 」という単発講座のほうが知りたいテーマだったので申し込んでみました。

ちなみにらぷらすフェスタでは交流会などもあり信田先生の直接質問できる機会があったのですが、講座だけで満足だったのでそのまま帰りました。他の方の質問などを伺うのも参考になるのですが、ちょっとこの日はそこまでの体力はなかったです。